『帳合之法』の現代語訳(by友岡)


先日、福澤諭吉(訳)『帳合之法』、の現代語訳が刊行されたことを知りました。

蛇足かもしれませんが、『帳合之法』は“Bryant and Stratton's Common School Book-keeping”の訳で日本初の洋式簿記書です[*註]。


そこで、購入希望のメールを訳者の水野昭彦先生(豊橋商業高等学校の元校長、名古屋外国語大学名城大学講師)に送ったところ、タダで下さるとのこと、しかも、上京の際にご持参下さるとのことでした。


というわけで、今朝、水野先生が研究室にお見えになり、しばし歓談させて戴きました。


なお、(世間は狭い、などとベタなことは言いませんが)同先生は、ボクが著書をよく引用するO大学のW教授と大学が同期で、いまなお親しい間柄とのことでした。


この『帳合之法』は訳者序の冒頭の
「古来日本国中に於て、学者は必ず貧乏なり」
が有名(?)ですが、このくだりの現代語訳は下記の通りです。


「昔から日本においては学者は必ず貧乏であり、金持ちは必ず無学である。従って、学者の議論は崇高で、口ではよく天下をも治めるというが、自分の借金は払おうとしない。金持ちは金を沢山持っており、また、これを瓶に入れて地面に埋めておくだけで、世の経済活動を勉強して商売を大きくする方法を知らない。何故かと思うに、学者は偉ぶって商売なんてものは品位の高いものが仕事としてやることではないと言うし、金持ちは自ら卑下して商売に学問はいらないと訳の分からないことを言っている」。


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*註 友岡『歴史にふれる会計学』(有斐閣)117〜122頁。