立ち読み(by友岡)

たまたま書店で手に取った一般向けの会計本。


珍しく‘歴史’に言及していて、(ボク的には)なかなかいい感じ、ですが、どうも、どこかで読んだような……。


(これまでもたまに同様のことがありました。)


むろん、学術書の類いではなく、ハウツーもの的な解説書なので、参考文献等の明示は必ずしもmustではありませんが……。


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ところで、昨夜は『放浪記』を読みました。


「月給は弁当つき35円でしてね、朝は9時から、ひけは4時です。ところで玉づけが出来ますかね。」
「玉づけって何です?」
「簿記ですよ。」
「少しぐらいは出来ようと思います。」
まあ、月給が弁当つき35円なんて! 何とすばらしい虹の世界だろう−。
……
「ええ玉づけだって、何だってやります。」
「じゃアやって見て下さい。そして2、3日してからきめましょう−」
……
大きな、まるで岩のような事務机を前にすると、35円の憂鬱が身にしみて、玉づけだって何だって出来ますといった事が、おそろしく思えてきた。小僧が持って来た大きい西洋綴りの帳面を開くと、それは複式簿記で、私のちょっと知っている簿記とは、はるかに縁遠いものだった。目がくらみそうに汗が出る。生まれてかつて見た事もないような、長い数字の行列……。
岩波文庫、pp.200-201)