続・本のタイトル(by友岡)

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『会計士の誕生――プロフェッションとは何か』(税務経理協会

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「そういえば、このまえ言ってた次の本の話だけど、どうなってるの? この間は、タイトルがどうのこうの言ってたけど」
「ああ、そうそう、今度のやつは、出るのは2月頃で、出るのは決まってるんだけど、タイトルがまだ決まらないっていうか、タイトルのことでもめてて」
「タイトルでもめてて、って、いつもそんなこと言ってない? 前も同じこと言ってたよね」
「うん。そのときにも話したと思うけど、本は、売れるためには、中身はもちろん大事だけど、それはおいといて、タイトルがすごく大事で、最近の出版業界は、タイトルで勝負、っていう感じだから、あれがいい、これがいいって、いろんな意見が出てきて、なかなか決まらないんだよね。
もちろん、まず著者ね、まず著者の意見があって、それから担当の編集者の意見があって、で、それから出版社の上のほうの役員とか社長とかの意見があって。
で、どういうタイトルだと売れるか、っていうんで、いろいろもめるってことね」
「で、前に話したときには、いまはどういうタイトルが流行ってるか、みたいな話をしたのよね」
「うん、『なぜ○○は○○なのか?』とかいうのとかね」
「『なぜ○岡先生の本は売れないのか?』とか?」
「……。で、それはおいといて、で、前とは別の話をすると、タイトルっていうのは‘広過ぎても狭過ぎてもいけない’のね」
「どういうこと?」
「例えば『‘女性’のためのナントカ』とかいうタイトルだと、まあ世の中、2人に1人は女性だし、日本には6000万人以上の女性が居るだろうから、対象が多過ぎるっていうか、タイトルとしては広過ぎるのね。
で、それが、例えば『‘35歳独身OL’のためのナントカ』とかだと、今度はちょっと狭過ぎるかなっていう感じで、で、『‘30代独身女性’のためのナントカ』とかだと、ちょうどいいかなっていう感じ。
つまり、広告とか書店とかでタイトルを見たときに、〔これは自分のことだな〕って思うかどうか、〔これは自分のことだな〕って思って目にとまるかどうか、なのね。
で、『女性のためのナントカ』とかだと、女性がそれを見たって、『女性』っていうのは広過ぎるから、〔これは自分のことだな〕っていうふうに思わないのね。
で、『35歳独身OLのためのナントカ』とかだと、もし35歳の独身OLがそれを見たら、絶対に〔これは自分のことだな〕って思って目にとまるんだけど、でも、『35歳独身OL』っていうのは、ちょっと狭過ぎっていうか、絞り過ぎっていうか、最初から対象を絞り過ぎてて、勿体ないっていう感じなのね。
というわけで、広過ぎても狭過ぎてもいけない、っていうことで、なかなか難しいわけね。
で、『30代独身女性のためのナントカ』とかだったら、30代の独身女性がそれを見たら、そのうちの何割とかは、〔これは自分のことだな〕って思って目にとまるだろうし、30代の独身女性っていうのは、かなり居るわけだから、絞り過ぎで勿体ないっていう感じでもないし、で、ちょうどいいかなっていうことね」
「確かにそうね。わたしも『女性のための』だけじゃあ、本屋さんとかでも気がつかないだろうけど、『30代独身女性のための』だったら、とりあえず手に取ってみるかもね」
「でしょ。で、『35歳独身OLのための』だったら、自分は35歳でもOLでもないから、最初から自分には関係ないっていう感じでしょ」
「なるほどね」