禁を破ってしまった(by友岡)

論文とかの未定稿(まだ完全には仕上がっていない原稿)を人に見てもらって、コメントをしてもらって、さらに推敲する、
といったことは研究者の多くがしていることですが、
ボクは一度もそういうことをしたことがありません。


というか、何かを執筆しているときに、「いま○○の論文を書いている」とか「今度○○の本を出す」とかいったことすら決して人には言わないのがボクの方針(?)で、ましてや未定稿の類いを人に見せるなんて、という感じです。


ただし、「ボクは一度もそういうことをしたことがありません」と書きましたが、実はウソで、一度だけしたことがあります。


助手になった直後、初めての論文(卒業論文修士論文を除いて初めての論文)を書いたときのことです。


書き上げた原稿を師匠(指導教授)のA先生に見せました。


ただし、ボクとしては、もう完成品のつもりで、さらに推敲するつもりなど全くなかったのですが、一応はA先生にも見せておいたほうがいいかな、といった程度の感じで、添削とかを望んでいたわけでは決してありませんでした。


しかし、A先生も、見てくれ、と言われたからには、ちゃんと見た証拠に(?)といった感じで何箇所か添削して下さいました。
しかし、完成品のつもりでいるボクとしては、実はその添削には従いたくありません。
しかし、添削してもらってしまったからには無視するわけにもゆかず、
さあ困った、
という感じになりました。


で、結局は、ボクのことをとてもよく分かっていて、ボクの本心を察知し、また、自分としても‘読むのが面倒’なA先生いわく、
「友岡君は一人前なんだから、もう見せなくていいですよ」。


(要するに、お互い‘無駄なこと’はやめましょう、という、合理的なA先生らしい判断でした。)


かなり昔のことですが、一度だけそういうことがありました。


― ― ―


しかし、この度、その禁(?)を破ってしまいました。


一昨日、一応、書き終わった原稿があるのですが、それを「ちょっと見て欲しいんだけど」と某氏に預けてしまいました。


このところ忙しくてまとまった執筆時間を確保することができず、こま切れの時間で少しずつ書いてきたものなので、どうしても‘思考の断絶’があって、ちょっと不安が……。


で、編集者に渡す前に、ちょっと誰かに見てもらいたい、ということです。


というわけで、禁を破ってしまいました。